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「Vamos 〜日本一へ〜」コロナ禍の逆境を超え、立同戦を制して日本一を目指す。

2021年4月から開催されている、関西学生野球連盟春季リーグ戦。今年は新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の発出により、従来通りの準備ができなかっただけでなく、リーグ戦の一時中断も余儀なくされている。そうした状況下でも、関西伝統の一戦である立命館大学と同志社大学の「立同戦」に向けて、着々と準備は進められている。立同戦を盛り上げ、大学スポーツの発展に貢献したいと語る、立命館大学4回生 硬式野球部主務の新川公太氏と、同じく4回生で学生コーチ・⽴命館⼤学AVA代表の岡⽥⻯之介氏に話を伺った。

今年のチームの特徴は、団結力とチーム力

──まず、お二人の役割から教えてください。

新川:僕は昨年から硬式野球部の主務を務めています。小学生1年の頃に野球を始め、高校時代は立命館高校で選手としてプレイしておりました。高校3年生で部活を引退したときに選手としての区切りをつけて、大学ではマネージャーとして入部。現在は主にチームのマネジメントを行っています。

新川公太(しんかわこうた)さん
新川公太(しんかわこうた):立命館高校出身、産業社会学部4回生。主務を務める。

岡田:僕は昨年12月まで選手としてプレイしていましたが、2021年1月からは学生コーチに転向しました。現在は、160名を超えるメンバーの目標設定や各自の役割の提示など、練習メニューをサポートしながらチームづくりに携わっています。 また、それとは別に大学スポーツの価値向上のために活動している「立命館大学AVA」と、体育会全体を統括している「体育会本部」にも所属しており、硬式野球部の内外から大学スポーツの発展に寄与すべく活動しています。

岡田竜之介(おかだりゅうのすけ)さん
岡田竜之介(おかだりゅうのすけ):倉敷商業高校出身、経営学部4回生。学生コーチを務める傍ら立命館大学AVA(大学スポーツコミュニティ)にも所属。

──選手を支える側の立場として、コロナ禍ではどんな苦労がありましたか?

新川:部員の体調管理が一番大変でしたね。コロナの影響で活動ができなかった時期もあり、今年入部した1年生も含めて169名が所属するチームだからこそ統括や意思疎通は一筋縄ではいかなかったです。

岡田:学生コーチとしては、全体練習を控え、人数を分けたチーム体制を構築するなど、全体としての一体感の醸成などには苦労しました。

──いつもと違う状況ですが、硬式野球部は「Vamos 〜 日本一へ〜」というスローガンを掲げ、日本一を目指していると伺いました。今年のチームの強みや特徴を教えてください。

新川:今年のチームの強みは「団結力とチーム力」です。昨年までは4年連続でプロ野球選手を輩出してきましたが、今年は良くも悪くもプロ注目の選手がいません。 だから、スター選手を中心としたチームづくりや練習メニューではなく、一人ひとりが自分の役割を認識しながらチームづくりや練習をしてきました。結果、スタッフも含めて“全員野球”ができるチームになっていると思います。

岡田:今年のスローガン「Vamos 〜 日本一へ〜」の「Vamos」とは、スペイン語で「我らは行く」という意味があります。つまり、スローガンに込めた思いは、「全員で日本一に向かう」こと。 今までは、スローガンを掲げても日常的に意識できていなかったのですが、今年は口にしやすい言葉を選んだので、練習中に自然と「Vamos」を連呼するようになり、全員が日本一の立役者になることを意識できていると思います。

満足に準備ができないなかでも、チームづくりに最良の工夫

──緊急事態宣言の発出によって一部中断している春季リーグ戦ですが、準備から開催にかけて例年と違っていた点や工夫した点があれば教えてください。

新川:率直に、試合に向けての調整が難しいリーグ戦です。例年通りなら2月中旬から和歌山県串本町での約1ヶ月間のキャンプを行い、その後、関東に遠征して強豪校や社会人チームと練習試合を行います。そこでチームを作りながら、チームと個々人の立ち位置をそれぞれ明確にしたら、関西で約20試合のオープン戦を実施してリーグ戦を迎えるのですが、今年はキャンプも関東遠征も中止になりました。 さらに、試合数自体が制限されていたので、結局リーグ戦までに10試合前後しかできないという事態に。どうにか調整できないか、関係各所と掛け合ったのですが、選手の準備が乏しい異例のスケジュールになりました。

岡田さん2

岡田:試合だけでなく、練習段階から全員で集まれない状況だったので、練習やチームづくりも難しかったです。細かく分けたチーム体制で練習をしていたので、学生コーチが間に入って、Aチームの練習内容をBチームに伝えるといった丁寧なコミュニケーションには気を配りました。 工夫したのは、学年ごとにZoomミーティングを実施する機会を設けて、下級生の意見を吸い上げたこと。全員に発言権がある状況を作れたのはチームにとってプラスになったと思います。 加えて、モチベーションを維持して一体感を創出するために、今年はいろんな役職を作りました。たとえばZoom会議を管理する役割やチーム貢献につながる役割、またコロナ禍でマネージャー業務に負荷がかかっているので、一部業務を担ってもらうなど、選手一人ひとりに責任を持ってもらう工夫をしました。

立同戦を制するために。着々と進める準備

──ライバル校である同志社大学との「立同戦」が迫っています。どのような思いでしょうか?

立同戦

新川:残念ながら今季の立同戦は無観客での開催となりましたが、優勝が絡んでくる、リーグ戦最後の伝統の一戦であることには間違いありません。 立同戦は野球部だけでなく、体育会本部や応援団などさまざまな団体が所属する立同戦実行委員会も動いています。僕も、実行委員会としての広報活動をはじめ、アシックスさんとのコラボで来場者グッズを制作したり、学生食堂に野球部を応援する立同戦メニューを作ってもらったりなど、幅広い活動をしているところです。

──食堂の応援メニューは面白いですね。

新川:主将の地元や出身校にちなんだメニューが多いのですが、たとえば東北楽天ゴールデンイーグルスの辰己涼介選手が4回生のときは、「辰己竜田揚げ」を作って販売していました。他にも、ポスターは毎年制作していて、今年は主将の琉の熱男っぷりが全面に押し出されたポスターに仕上がっています。 無観客という状況での開催とはなりましたが、どんな状況でも自分たちができることを準備して優勝に向かって突き進むのみです。

岡田:立同戦は、選手やスタッフだけでなく大学内外のいろんな人が関わっていて、さまざまな支援もいただいています。それに対して野球部は感謝をしないといけないし、結果も出さないといけません。だから、全員が日本一を成し遂げたるための準備をしてくれると信じています。

──いろんな立場の部員に対して、多くの人がサポートしてくれていることを理解してもらうのは簡単ではないと思います。何か工夫はしたのでしょうか?

新川:選手全員が理解するのは簡単ではないし、主務一人が発信しても届く人は限りがあります。だから、普段なら主務しか参加しない大学とのミーティングに主将や副主将を連れていくなど、理解者と発信者を増やす工夫をしました。

同志社大学はライバルであり、戦友

──同志社大学というライバル校がいることについて、お二人はどう感じていますか?

新川:良い刺激になっています。東の早慶戦、西の立同戦と言われるように進化したいです。

岡田:同志社大学は、ライバルであり戦友でもあると思っています。立同戦を盛り上げることは大学野球だけでなく、大学スポーツの発展にもつながるので、戦いながら一緒に作り上げていく感覚がありますね。

岡田さん3

──たしかに、高校野球はメディアにも取り上げられますが、大学野球や大学スポーツは認知度が低いかもしれません。

新川:まさに、甲子園は盛り上がるのに、甲子園で大活躍していた選手が集まった大学野球が盛り上がらないことは課題だと思っていて。個人的にも不思議なのでゼミの論文のテーマにしているほどです(笑)。だから、少しでも注目されるような試合をして、大学野球の価値を高めたいです。 今回は、「スタジアムに来てください」という内容の広報活動はできないので、広報ツールとして活用しているPlayer!で応援してもらえると嬉しいです。

立命プライドに火をつけて、大学スポーツを発展させたい

新川さん2

──最後に、立同戦への意気込みと、卒業までに成し遂げたいことを教えてください。

新川:立同戦への意気込みとしては、日本一という目標達成のために、僕たちは勝つのみです。 卒業までに成し遂げたいのは、大学スポーツの価値を少しでも向上させること。一昔前は、立同戦の期間は授業も考慮され、学生みんながスタジアムに足を運ぶような、大学の中でも特別な行事でした。でも、今は頑張って広報をしないとなかなか学生は来てくれません。この状況は本当に悔しいので、自分たちが価値ある試合をすることで変えていきたいと思っています。 知らないスポーツや選手でも、ワールドカップやオリンピックならテレビの前で応援する人がたくさんいるように、大学スポーツも何かきっかけがあれば変わると思うんです。大学の教職員も「大学スポーツを盛り上げたい」と言ってくれる方は多いので、学生にも教職員にも眠っている「立命プライド」に火をつけて、大学スポーツを変えるきっかけづくりに挑戦したいです。

岡田:僕も同じで、まず立同戦では全員で勝つことを意識して、準備を進めるのみです。 卒業までに成し遂げたいのは、大学スポーツの発展に少しでも貢献すること。僕は高校時代、多くの人から注目される中でプレイする高校野球が本当に楽しかったんです。でも、大学に入って明らかにレベルが高いのに注目されない大学スポーツの状況に疑問を抱き、現状を変えるべく「立命館大学AVA」に所属しました。

「立命館大学AVA」とは、立命館大学の体育会に所属する学生と、体育会に所属しない学生が一緒になって「大学スポーツの振興と発展」を目指す学生団体です。体育会の各部は体育会本部に所属して互いに連携していますが、体育会以外の学生と一緒になることで、独自の地域貢献を行うなどユニークな活動をしています。

AVAの活動によって選手一人ひとりが成長し、大学スポーツの価値を向上・発信できるようになれば、長期目線で大学スポーツの発展につながるはず。硬式野球部の学生コーチとしても、リーグ戦、立同戦をきっかけに、大学スポーツの価値を高めていきたいと思っています。

立同戦開催概要 立命館大学 vs 同志社大学(関西学生野球連盟春季リーグ戦 第8節) 5/24(月)12:00〜 https://web.playerapp.tokyo/live/68192 5/25(火)12:00〜 https://web.playerapp.tokyo/live/68193 ※Player!にて速報予定 ※無観客での開催

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