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諦めない強い思いが、描く未来を引き寄せる

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2020年は春以降のさまざまな大会が中止もしくは延期となり、部活生は満足にスポーツに打ち込めない状況が続いてしまった。その状況でも、ピンチをチャンスに変えるにはどうすべきなのか。

今回は、シンガポール初の日本人プロサッカー選手として活躍後、ガーナやオーストラリアでの選手生活を経て、現在はシンガポールとカンボジアでサッカー事業会社を経営する斉藤泰⼀郎氏と、横浜国立大学経済学部3年生でサッカー部主将の岩水一史氏が語る。

企業の内定を辞退し、シンガポール初の日本人プロサッカー選手へ

――斉藤さんは大学時代、どのような部活生でしたか?

斉藤:私の高校と大学時代は、公式戦はおろか、ベンチ入りもできない部活生でした。特に大学では日本中から優秀な選手が集まっていたので、まったくプレイの機会はなかった。 しかも、大学2年生に上がるとき、主務に指名されたんですね。当時、主務に指名されるのは「サッカーが上手くない」と言われるのと同じ意味があった。 すごく悔しかったけど、プロ選手になりたい思いは諦めてたくなかったので、主務もやるけど選手もやらせてほしいと直談判したんです。それからは、部の主務もつとめながら毎日ひたすら練習に取り組む日々を送りました。 だけど、当時はJリーグから声がかからなかったらプロサッカーの道は絶たれます。私は一度も公式戦に出たことがなかったので、大学4年生のときにやむなく就職活動をすることになりました。 ただ、どれだけ自分と向き合ってもサッカー以上にやりたいことは見出せず、結果的に内定をもらえたものの、本当にやりたいこととは違うから悶々としていたんです。そんなとき、偶然にもシンガポールにプロリーグがあるという話を聞きました。 父親がシンガポールに駐在していた関係で、小学生から中学生までの5年間をシンガポールで暮らしていたため、第二の故郷でプロ選手になれる可能性があるなら挑戦したいと思い、入社式が迫るタイミングで内定を辞退。 当然、親からは反対されることがわかっていたので、何も相談せずに海を渡ってプロテストを受けに行きました。このときは、完全に自分の心の声に従って行動を起こしましたね。

――強い思いがプロへの道を引き寄せたのですね。シンガポールに渡ってからはどのような活躍をされたのでしょうか。

斉藤泰一郎:早稲田大学卒業後、1999年シンガポール初の日本人プロサッカー選手に。ガーナ、オーストラリアでの選手歴を経て2008年に現役引退。現役引退後は東南アジアを中心にサッカー事業を展開。スポーツマーケティング、サッカー/フットサルイベント企画、サッカーアカデミー運営、プロチーム運営コンサル、"東南アジアサッカーの風"プロジェクトの運営等にも当たっている。SDGsのためのCSRサッカー事業にも取り組み、4万人以上の東南アジアの子供達にサッカーを届けてきた。AFC指導者B級ライセンス保有。
斉藤泰一郎:早稲田大学卒業後、1999年シンガポール初の日本人プロサッカー選手に。ガーナ、オーストラリアでの選手歴を経て2008年に現役引退。現役引退後は東南アジアを中心にサッカー事業を展開。スポーツマーケティング、サッカー/フットサルイベント企画、サッカーアカデミー運営、プロチーム運営コンサル、"東南アジアサッカーの風"プロジェクトの運営等にも当たっている。SDGsのためのCSRサッカー事業にも取り組み、4万人以上の東南アジアの子供達にサッカーを届けてきた。AFC指導者B級ライセンス保有。

斉藤:1999年にシンガポールリーグ初の日本人プロサッカー選手としてキャリアをスタートさせ、シンガポールやガーナ、オーストラリアなどでプレイしてきました。徹底していたのは、外国人選手として圧倒的な結果を目指すことと、日本人の良さである「時間を守る」「練習にコミットする」ことです。 プロになって約9年がたった32歳のとき、やりたいことは一通りできたから、サッカーとの付き合い方を変えてもいいかもしれないと自然と思うようになり、現役を引退。 現在はシンガポールとカンボジアでサッカーの事業会社を経営しており、東南アジアの多拠点でスポーツマーケティングやサッカーアカデミー、プロチーム運営コンサルティングなどを展開しています。

監督不在、選手の自主性で成り立つ横浜国立大学サッカー部

岩水一史:横浜国立大学経済学部経済学科3年生。神奈川県一部横浜国立大学サッカー部主将。ポジションはMFインサイドハーフ。都立新宿高校出身。2020シーズンテーマ「考動」関東2部昇格を目標に、各々が考え続け行動するというテーマを念頭に、組織強化、サッカー強化を図っている。チームの理念「世界を楽しくする挑戦」
岩水一史:横浜国立大学経済学部経済学科3年生。神奈川県一部横浜国立大学サッカー部主将。ポジションはMFインサイドハーフ。都立新宿高校出身。2020シーズンテーマ「考動」関東2部昇格を目標に、各々が考え続け行動するというテーマを念頭に、組織強化、サッカー強化を図っている。チームの理念「世界を楽しくする挑戦」

――岩水さんは横浜国立大学でサッカー部の主将をされています。現在3年生なのでもう1年大学サッカーをできる時間がありますが、苦労されていることなどありますか?

岩水:横国大のサッカー部は監督がいない、練習も試合もチームづくりも全部選手たちで決めて動く珍しいチームです。幹部代は4年生ではなく3年生で、3年生の僕が主将を務めているのですが、影響力の大きな先輩とどう向き合ってチームを良くすればいいのかは、課題の一つです。 それから、怪我などによってモチベーションが低下した人がいた場合の周囲の対応も課題なのですが、斉藤さんは学生時代どのように対応していましたか?

斉藤:私がいた早稲田大学は、プロから声がかかるような人が日本中から集まっていたから、モチベーションが下がる人はほとんどいなかったと思います。練習の前後に自主練をするし、体のケアもきちんとやる人ばかりで、ベンチ入りができない私も、その環境に刺激を受け続けていました。 だから、モチベーションを上げるには普段とは違うことをしたり、違う世界を見たりして、刺激を受けるのがいいと思います。今回のように、zoomなどを使えば普段出会えない人ともつながれますからね。 それと、先輩との向き合い方ですが、もし私が大学生に戻れるなら、先輩や後輩とサッカー以外でのコミュニケーション量を増やすと思います。同級生と同じように、普段から他愛もない話ができる関係性を築いておけば、大事なことも話しやすくなりますよ。

選手だけでプレゼンし、企業とのスポンサー契約を結ぶ

――岩水さんは学生サッカーを続けてきた中で、印象的だったエピソードはありますか?

岩水:今年の4月からスポンサー企業がついたことです。これはとても画期的なことで、サッカーの強豪チームにスポンサーがつくことはあっても、僕らのように監督もいない県リーグで戦っているチームにスポンサーがついたのは、おそらく異例なことだと思います。

岩水さん

斉藤:自分たちで営業活動をしたんですか?

岩水:自分たちの価値は何かをみんなで話し合って言語化し、それをプレゼンした結果、長谷工コーポレーションさんと5年のスポンサー契約を結ぶことができました。選手のみで実現させたことなので、自信にもつながったし大きな成功体験になりました。 今は公式戦ユニフォームや横断幕など、経済的な面でサポートしていただいていて、すごくありがたいです。ただ、ユニフォームに入れるスポンサー企業のロゴに規約があることなどを知らなかったので、学ぶことも多いですね。

斉藤:それは本当にすごい成功体験です。自分たちで営業して契約し、スポンサーのロゴを付けたユニフォームで次のステップに進んでいく。それはまさに社会の縮図。とてもいい経験をされていますね。

コロナ禍のピンチをチャンスに変える

――コロナ禍によって、斉藤さんは事業に、岩水さんは試合や練習に影響があったと思います。どのように対応してきたかを教えてください。

斉藤:私は、すべての人にサッカーの機会を平等に提供できるような取り組みを進めており、カンボジアの孤児院でのサッカースクールや、各国でのサッカーやフットサルのイベント、障がい者との活動や地域貢献活動などのCSR活動などをしていました。 でも4〜6月はデジタルに完全シフトして、オンラインでできる企画、たとえばオンラインでのトレーニングや、カンボジアサッカーをもっと知ってもらうための情報発信など、さまざまな企画を次々と試していました。

斎藤さんと岩水さん

岩水:僕は部員達との話し合いの機会をたくさん設けました。今回のコロナ禍で、サッカーの名門大学もそうじゃない大学も、おそらく横並びのフラットな状態になったと思うんです。僕らはもしかしたら、化けるチームになれるかもしれない。そう思って、各自の筋トレはもちろん、ポジションによって必要な筋肉量や体重などを細かく調整する仕組みを作りました。 トップダウンではなく、自分たちで話し合ってベストな方法を探れたのは良い経験になったので、必ず結果につなげたいと思っています。

成長の機会はどこにでも転がっている

――岩水さんから斉藤さんに聞きたいことはありますか?

岩水:コロナ禍で満足にサッカーができなくなって、あらためて大学サッカーを続ける意味や、体育会の組織に入って続ける意義を考えるようになりました。斉藤さんは大学サッカーを続ける意義は何だと思いますか?

斉藤:今回の新型コロナウイルスは、収束するまでに数年はかかると思います。でも、悲観的になる必要はまったくなくて、成長の機会はどこにでもあると捉えて欲しい。 私は大学時代、元日本代表のOBから「グランドの上にはいろんなものが落ちていて、それを拾うか拾わないかは自分たち次第。素敵なものを拾えるように大学4年間は一生懸命サッカーをしてください」と言われました。 この言葉はどこに行っても当てはまるもので、たとえばアフリカでプレイしていたときは、汲んできた水で水浴びをするだけのシャワーがない生活を送っていたんですね。でもそれを嫌だと思うのか、楽しみながら現地の人と接して仲間になっていくのかで、その後の伸びしろは大きく変わります。 今回のコロナ禍は、マクロで見れば、人生100年時代と言われるうちの1、2年のことですし、ミクロで見れば、小さくてもたくさんのチャンスボールが落ちているはず。だから、マクロとミクロ両方の視点を持って、楽しみながら成長機会を得て欲しいです。

斎藤さん2

岩水:ありがとうございます。すぐに部員に伝えます。もう一つ、僕らは「部愛」をテーマにしていて、どういったときに「部愛」を感じるのかをよく話しています。たとえば、怪我をしてプレイはできなくてもずっとビデオを回してくれる先輩や、みんなのために仕事をしてくれるマネージャーなど、「部愛」があるから同じチームでいてくれるんだと思うんですね。 部に対する帰属意識なのかもしれませんが、斉藤さんは「部愛」はどんなことから生まれると思いますか?

斉藤:「部愛」という言葉は始めて聞いたので、答えになっていないかもしれませんが、私は、経営している会社や事業、従業員をどれだけ周りのみんなから愛してもらえるか、いつも考えています。 愛してもらうために必要なのは、自分たちが価値を創造して周りに届けていくこと。それができれば社内外を含めてファンが増えていくはず。だから、岩水さんも正しいと思うことを信じて行動していたら、きっと周りを巻き込んで「部愛」を醸成できると思いますよ。

目指すは、監督不在チームの関東リーグ参入

斉藤:私からも岩水さんに聞きたいのですが、横国大サッカー部が掲げている「世界を楽しくする挑戦」というチーム理念について、具体的に教えてもらえますか?

岩水:サッカー部がサッカー部たる所以は何か、なぜ横国大サッカー部が必要なのかをみんなで考えて言語化できたら、部員全員が納得して部活動に関われるのではないかと考え、昨年先輩たちを中心に作りました。 世界とは単にグローバルの意味だけではなくて、個人の世界や横国大サッカー部の世界、大学サッカーや大学スポーツの世界など、いろんな世界を表していて、それを楽しくするための挑戦をするのが、横国大サッカー部の存在価値です。 この理念のもと、現在目指しているのは「関東第2部昇格」です。スポーツ推薦ではなく、普通に受験して入学したメンバーしかいないサッカー部、しかも監督もいないチームが関東リーグに参入できれば、夢もあるしワクワクしますよね。下克上的な要素もあって、挑戦していることを感じられるのはすごく楽しいです。

岩水さん3

斉藤:素晴らしいです。存在価値を明確にするのはビジネスの世界でも求められていること。東南アジアのサッカーを楽しくするためにも、長期休暇などを利用して同期や後輩たちと子どもたちのコーチとして遊びにきて欲しいです。

岩水:嬉しいです、ぜひ行きたいです!

斉藤:お待ちしていますね。私は高校から今までずっとサッカー人生が順風満帆だったわけでなく、辛いことや修羅場もたくさん経験してきました。プロになりたいという強い思いを持ってサッカーを続けたから、仲間の大切さはもちろん、チームの団結力が大きな力を発揮するという成功体験を学生時代から積み重ねられましたし、自分が進むべき地図の描き方と進み方も学べました。 サッカーを続けて無駄なことは何一つないので、残りの大学サッカー生活で悔いのないように挑戦し続けてください。諦めなければどんな困難な道でも切り開いていけるはずです。

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